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2008年6月16日 (月)

涼宮ハルヒの憂鬱

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谷川流の『涼宮ハルヒの憂鬱』、漫画かDVDから入ったほうがいいかなとも思ったけど、もともと小説だったんだからオリジナルの形をまず味わおうということで、文庫を読んでみた。面白かった。漫画じゃなくてもアニメじゃなくても、画像がなかろうが何の遜色もない、むしろ文字で読む快感を久しぶりに味わえた。

文章が中学生か高校生の口語体みたいな調子で書かれているので若干抵抗はあったけど、読み進むうちに気にならなくなった。物語が主人公ひとりの視点で語られているのが特徴的で、主人公がどこまでも現実的な思考を維持しているのに対し、彼以外の登場人物がとる非現実的な行動とのギャップが浮き彫りになる。やがてそのギャップがひっくりかえっていくことになるわけだが…まことに巧みな演出だ。登場人物全員のフルネームが紹介されているのに、主人公はアダ名だけというのも上手い。

ライトノベルは馬鹿にできない。ただ、惜しむらくは深みが足りないというか、「面白かった」以上の感想が出てこないことだ。例えばル・グウィンの『ゲド戦記』はファンタジー小説だがライトノベルとは一線を画しており、文学作品と呼んで差し支えない内容だ。僕が読んだのは「影との戦い」「壊れた腕輪」までだが、死にゆく子供の魂を追って夕闇迫る草原を走るシーン、絶望に沈む主人公に友人が真の名を明かすシーン、魂を吸い取る暗闇の洞窟を息絶え絶えに這いずり回るシーン、その他諸々、読後何年経っても忘れ難い。素晴らしい物語だった。
ええ歳こいた大人の読者としては心に大きく残るものがあれば、と願うのだが、そのような要素が希薄だからこそライトノベルなのであり、より多くの若い読者を惹き付けるのだろう。

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