新旧Modulus
荷物の整理をしていたら楽器のハードケースが出てきた。中身は1990年製Modulus Quantum-4で、ケースも今時の樹脂製ではなくトーレックス張りの木製。ネックはトラスロッドが入っていないので調整不要、というか調整不可能なのだが、このベースギターを手に入れて以来まったく問題なし。
こちらは2002年製Modulus Quantum-6。創業者であるジェフ・グルーが会社を去った後に制作されたもので(彼は1995年にモジュラス社を退社している)、90年モジュのネックの付け根にあったグラファイトネックに関する特許番号は、こちらにはない。そのかわり丸い穴が空いているのだが、ここからレンチを差し込んでトラスロッドを回すようになっている。また、コントロールノブの並び方がボディの輪郭に沿うように変更されている。
90年モジュの裏側。ネックはグロスフィニッシュ、意外と皮膜の薄い塗装が施されたボディはアルダー。
02年モジュの裏側。ネックはサテンフィニッシュでサラサラした手触り。ちょっぴり厚いポリ塗装のボディもサテンフィニッシュでアルダーのバック、ブビンガのトップ。上部ホーン、下部ホーンともに90年モジュよりもやや太くなっているが、それは六弦モデルだからだ。当然、重量も90年モジュより02年モジュのほうが重いのだが、ケース込みの総重量となると逆転する。樹脂製ケースは本当に軽い!
年代的に最大の違いがあるのはネックそのもの(※接写撮影時、レンズによる樽型歪が生じているためネックが曲がって見えるが、実際のネックは曲がっているわけではない)。上が90年モジュ、下が02年モジュで、結晶模様がまったく異なるのがよくわかる。しかし、音に大差はない。トラスロッドの有無による音の差も…正直、よくわからないw それらの要素よりも、指板の材質による音の違いのほうがはるかに大きいと感じられる。
90年モジュの指板はコンポジット、02年モジュの指板はチェチェンという木製で、前者は指板上というか、フレット上の弦がいまどんな状態にあるかを神経質なまでによく伝える。端的に言うと、カチャカチャうるさい。後者はフレットノイズが程良く抑えられ、大人しめのサウンドだ。モジュラスはグラファイトネックの個性がきわめて強力で、ボディのトップ材がなんであろうが(モジュラスの場合トップ材は完全に装飾と捉えていい)、ピックアップやプリアンプに何を使おうが結局「モジュラスの音」にしかならない。そのグラファイトに木の指板を組み合わせることで音質のコントロールをはかっているのだろうが、02年モジュを入手したとき「なるほど、良いところに目をつけたものだ」と感心した。
以前も書いたけど、モジュラスは高級機ではない。高価格機だ。それはグラファイトという素材そのものが高価であり、加工、成形に手間がかかるからであって、決して木工に高度な技術を注ぎ込んでいるからではない。湿度調整剤を入れたケースにしまっておいて、時々出してピカピカに磨いて眺めてウットリ…なんて楽器ではない。大雨の日だろうが真夏の炎天下でのライヴだろうが、ネックの反りやチューニングの狂いを微塵も気にすることなく平気で持ち出すことができる、素晴らしいベースギターなのだ。
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