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2018年10月 8日 (月)

Steinberger XL2 所感

Xl2

2018年3月11日に入手して以来およそ半年が過ぎたSteinberger XL2。もともとは「NDロードスターに2人乗車した状態で積むことができるロングスケールのベース」という条件に合うベースが他に無かったという理由で中古のXL2を購入したのだが、予想を超える素晴らしいベースだった。これまでに購入して弾いてきたどのベースよりも気に入っている。いや、取り憑かれていると言ったほうがいい。僕が購入したのは1989年製の個体なので今から29年前に作られた楽器だが、平成も終わろうとしている今現在に於いて最新のベースと比べても何ら遜色のないベースだ。

Steinberger社は楽器メーカーとして今も存続しているけれど、グラファイト製の楽器は製作していない。製作コストが高くつきすぎるのだろう。僕は1987年頃に楽器屋さんで新品のSteinberger XL2を試奏したことがあって、その時はModulusのほうがいい音だと感じられたのでModulus Quantum4を購入した。それから30年余りが経過し、いまごろXL2に夢中になるとはね…。

おそらく、最新鋭のベースアンプを使って音を出していることにもXL2を良いと感じる要因があるのだろう。SWRのベースアンプが世に出て以降、ベースアンプの扱う周波数レンジは拡大され続けてきた。音楽再生メディアはLPからCDへと様変わりし、オーディオは高域・低域の両方向へ再生周波数が拡張されてきた。つまり、XL2が登場した頃のベースアンプではXL2の持つ音のすべてを再生しきれなかったのが、今のベースアンプであれば再生できるようになっており、それを魅力的な音色だと感じているのではないか。余談ながら、ヴィンテージ・ベースをヴィンテージ・アンプで鳴らすと当然のように素晴らしいサウンドが得られるのだが、アンプをモダンなものに換えると更に素晴らしいサウンドが得られることはもっと知られていい。

XL2のピックアップはEMGのアクティヴ・ピックアップなので、駆動に9V電池を要する。張った弦の種類に左右されず特有の音色を維持するベースもあるが、XL2は弦を変えれば音も変わる。EMGピックアップの特性もあって弦の音を忠実に出力しているとも言えるが、同時に、味気ないという印象にもなる。特に、ライン録りした音は誠に素っ気ない音で、2万円ぐらいのベースと大差ない。ところが、アンプで鳴らすと一変して抜けの良いやや派手目のサウンドに聴こえるのだから面白い。経験上ボディとヘッドの面積(体積)が小さいベースは低音が得られないと思っていたのだが、XL2はまったくの例外だ。ショートスケールのベースよりも全長が短くボディもコンパクトなのに重低音が飛び出す不思議よ。ああ、確かにコレは究極のベースだ。

XL2の欠点は特に見当たらない。強いて挙げればメンテナンス面、絶版製品であるため弦を除いて消耗する部品の供給体制が公式にサポートされない、というところだろう。じつは各地で個人制作家によるSteinbergerのパーツ制作&販売は盛んに行われており、ネット時代である昨今、情報・現物ともに比較的容易に入手可能となっている。楽器屋さんの店頭には並ばないが、通信販売であれば購入可能というわけだ。オンラインで修理やリペアを引き受けてくれるショップも有り、輸送費はかかるものの、故障したSteinbergerを抱えたまま途方に暮れるといった事態は避けられるようになった。いやー良い時代になったものだ。

専用弦が高価というのは生産量を考えれば仕方がないし、一般の弦が使えるようになるアダプターを購入すれば解決する問題だ。僕は専用のダブルボールエンド弦を張っているが、それは楽器の設計者の意図を尊重したいからであり、弦交換が楽だからだ。コスト面を考えても他のユーザーに専用弦を勧める気はない。

僕は楽器を改造するよりも弾く方に時間を取りたいタイプなので、一度各部の調整を行えば以後ほとんど調整不要なXL2はひたすら演奏に没頭できるベースだ。最初に弦を張ってそれに合わせてブリッジを調整、ピックアップの高さを調整して、一旦セッティングが決まれば、あとは弾くだけ。弦交換も同じ弦に交換していけばその都度行う調整は不要になり、弾く時間が増えるという次第。トラスロッドがないのでネックの調整も不要(というか、出来ない)。手を加える隙が少ないので、楽器をいじるのが好きな人にとってはあまり面白い楽器ではないかもしれない。僕が行った改造はただ一点、改造とも呼べないものではあるが、XL2を床に置いた時にボディエンドが直接床に接触するのを避けるためと、ネックを持って床から持ち上げるときに楽器が手前に傾くのだがその際チューニングノブが床と接触しそうになるため、対策としてボディエンドにゴム脚を貼った。ソルボセインがいいかなと思って調べてみると、ソルボセインは重量物を長期間載せておくと変形していくというので、プラチナシリコン製の脚にした。直径1インチ、半球状の黒い脚なので目立たず、楽器を床に置くときもポヨヨンと優しく衝撃を吸収してくれる。

XL2の美点は、音抜けが良いこと、タッチに対する反応が素晴らしいこと、ストラップで吊った時の重量バランスが良いこと、ピボットプレートによりネックの角度を任意に固定できること、温度や湿度によるネックの変化が極めて少ないこと、楽器自体がコンパクトで携行が楽なこと…挙げればキリがない。ただし、これを気に入るかどうかは人によって好みが異なるので、実際に自分の手で持って弾いてみなければわからないだろう。

XL2を弾くようになって、他のベースに対する興味がなくなった。造形面や機能面で面白そうだと思うベースはあっても、新たに購入したいかというと全然そういう気持ちにはならない。ついに、楽器に対する物欲が失せてしまったようだ…自分でも信じられないけど。

まぁそのぶん、演奏とか作曲の方に力を回せるからいいかな。

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